喜劇映画研究会代表・新野敏也による ドタバタ喜劇を地で行くような体験記♪
作品の感想は語れず 衒学的な論評もできない「コメディ」によって破綻した実生活を暴露する!?
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番外編 喜劇の魅力PART2 ~京都国際映画祭2019から東京国際映画祭2019ユース部門チルドレンまで~ 

 今年も京都国際映画祭にはお世話になります。その同日には我が喜劇映画研究会協力の山崎バニラさん公演が重なり、嬉しいことに11月まで凄く賑やかな喜劇上映が続きます。

 京都は創設111年の歴史を誇る大江能楽堂の舞台に、またまた僕が解説でお邪魔させて頂きます。バニラさんの公演では、こくみん共済 coop ホール(旧名称・全労済ホール)、北海道の浜頓別町多目的アリーナ、東京国際映画祭と、拙会は大変な栄誉に預かりますが、いずれも進行の都合でプログラム時間内に各作品を説明しきれない場合も考えられます。なので、拙ブログにて作品鑑賞のツボやちょっとしたトリビアをお知らせしておこうと思います。今回もネタバレ防止の内容なので、どうか安心してご笑覧下さい! 

【京都国際映画祭(会場:大江能楽堂)】

https://kiff.kyoto.jp/

 いきなり手を抜く訳ではありませんが、この映画祭の拙会関連上映につきましては、おもちゃ映画ミュージアム様が詳しくご紹介して下さいました。 

まずはコチラをご覧下さい!

http://toyfilm-museum.jp/news/infomation/5738.html

 

 さて、プログラム別に作品情報の補足をしましょう。

10月19日(土)13:50 ~

ローレル&ハーディ/コンビ芸の美学

登壇:清水圭(司会)、ロネ&ジージ、なべおさみ、新野敏也

《上映作品》

「リバティ」Liberty  (24コマ映写)

1929年 ハル・ローチ・スタジオズ=MGM作品
製作:ハル・ローチ、監督・脚本:レオ・マッケリー
題字:H・M・ウォーカー、撮影:ジョージ・スティーブンス
音楽:ロザリオ・ボールドン、録音:ジェイムズ・グリーン
日本語字幕:石野たき子
出演:スタン・ローレル(痩せた脱獄囚)、オリバー・ハーディ(太った脱獄囚)、ジャック・ヒル(警官)、トム・ケネディ(看守)、ジェイムズ・フィンレイスン(レコード屋の店主)、ジーン・ハロウ(タクシーに乗りかける女)

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 昨年度に青木タイセイさんと高良久美子さんの伴奏付きで上演した作品ですが、今回は製作当時のオリジナル音源にて再上映します!

 映画は発明された当初から1930年代頃まで無音で、劇場(上映会場)に常駐の楽士が音を奏でていたのは周知の事実、そしてトーキーによって伴奏者は役目を終えてしまった訳ですが、実はこのトーキー設備が普及して間もなくの頃は伴奏付きサイレント映画(今日でいうところのサウンドトラック入り)が作られておりました。今回はその貴重なオリジナル音源で往時の笑いを考察したく思います。

 尚、「無声映画は16コマ映写」と教条的に謳って本作を16コマ映写する上映会もあるようですが、ローレル&ハーディ作品はかようにトーキーとの端境期の製作・配給なので、最初から24コマ撮影でした。今回のサウンド版公開は、こうした勘違いに一石投じるかもしれませんね。

 

 当日は、世界最高峰の道化師(クラウン)であるロネさんとジージさんがパントマイムやコンビネーションの呼吸などを解説、そして日本喜劇界の法王なべおさみ師匠、私アラノがローレル&ハーディの魅力を検証する予定でおります。

 

「ミュージック・ボックス」The Music Box (24コマ映写)

1932年 ハル・ローチ・スタジオズ=MGM作品 アカデミー最優秀短編映画賞作品
製作:ハル・ローチ、監督・脚本:ジェイムズ・パロット
脚本:H・M・ウォーカー、撮影:レン・パワーズ、ウォルター・ランディン
音楽:ハリー・グラハム、録音:ジェイムズ・グリーン
日本語字幕:石野たき子
出演:スタン・ローレル(痩せた運送屋)、オリバー・ハーディ(太った運送屋)、ビリー・ギルバート(セオドア・シュワルツェンホーヘン教授)、ヘイゼル・ハウウェル(シュワルツェンホーヘン夫人)、リリアン・アイリーン(ベビーシッター)、チャーリー・ホール(郵便配達員)、サム・ルーフキン(警官)、スージー(馬のダイナー)

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 タイトルの《ミュージック・ボックス》とは、米語でオルゴールを意味します。以前に本作は、海外版ソフトの無断リッピングに劣悪な日本語字幕入りの違法DVD(またはブルーレイ)などを販売・上映レンタルする悪質業者によって『極楽ピアノ騒動』なる邦題が付けられました。そのタイトルを基に自称研究家やエセ評論家どもが、得意げに海外文献とか他人の論文の受け売りで稚拙な感想などを拡散した結果、世間では『極楽ピアノ騒動』なる邦題が正式なものと勘違いされてしまいました…こんな不愉快きわまりない話をよく耳にしますので、ここで一発キメさせて貰います!

「ボ~っと生きてんじゃねぇよ~!」

 本作のテーマは《ピアノをピアノとして扱わない》という《行為=事務的に搬入するだけ》である故、スタッフ側はよほど題名を吟味したようで、メカニカルな響きの『The Music Box』と命名したのでしょう。なので、作品の意味合いを汲み取れない安直な『極楽ピアノ騒動』なる邦題は、ギャグの解釈自体を勘違いしていると断言できます。

(蛇足ながら、『極楽ピアノ騒動』と命名した悪質業者は、この邦題で無断上映されていると知るや、「自社の商標権が侵害された」とデッチ上げて金銭を要求するなど、詐欺にユスリのオマケ付きです)

 

 未見の方にはネタバラシぎりぎりとなりますけど、本作は前半が長い長い階段でピアノを担ぐ有名な反覆ギャグ、後半は今までのフラストレーションを一気に開放するかのごとき破壊ギャグで構成されております。

 よくチャップリン初期の短編『アルコール先生ピアノの巻(His Musical Career)』を模倣したという文章が散見されますけど、痩せ男(ローレル)と巨漢(ハーディ)がピアノ搬入で苦労するようなルーティンのギャグはチャップリン作品になく、ただ類似点といえば痩せ男(チャップリン)と巨漢(マック・スウェイン)がピアノを階段で上まで担いで搬入する設定くらい。しかもチャップリン作品はさっさとピアノを運んじゃいます(おまけにチャップリンはピアノ演奏まで披露しますが、残念ながら無声映画なので音はありません)。

 僕の私見は、この『ミュージック・ボックス』とは、ちょうど製作当時にハリウッド映画人へ衝撃を与えた『戦艦ポチョムキン』の《プロレタリアvs.ブルジョア》《階段における惨劇》《乳母車》を参考にしたのでは?というカンジです。 

 あと、ついでの情報になりますけど(未見の人のために詳細は述べませんが)、労働階級のローレル&ハーディに対峙するインテリのブルジョアとして、シュワルツェンホーヘン教授(ビリー・ギルバート扮)というコワイ人物が登場します。この教授が劇中で怒ってアルファベットを連呼するのですが、これは「脳神経外科」とか「循環器内科」みたいな専攻の略称だとお伝えしておきましょう。

 実はこのセリフ、大抵の日本語字幕では《たけり狂った金持ちが意味不明の単語を叫んでいる》がごとくテキトーに訳されますけど、同様に英語圏の人々もこのマニアックなギャグ(セリフ?)をすんなり理解できるのかは疑問です。

 

 マニアックな話を続けると、習作期のロマン・ポランスキー監督短編『Dwaj Ludzie z Szafą(タンスと二人の男)』、モーリス・センダックの絵本をアニメ化した『まよなかのだいどころ(In the Night Kitchen)』、浜岡賢次の人気漫画『浦安鉄筋家族』などは『ミュージック・ボックス』からの影響が多く窺えます。

 また、本作は製作当時に改良されたばかりのオプティカル・プリンター(特殊な画面合成をするマシン)を多用していること、トーキー初期段階ながらもオープン・ロケで同時録音を敢行していること、スタジオでのアフレコを上手に盛り込み不要なBGMを排除していることなど、現代の映画製作でもお手本となるような技術が多くあります。

 

 ローレル&ハーディの作品はほどんどが短編なので、遠い昔の俗っぽいB級映画に思われがちですが、本当のところ、個々の作品は《巨額の予算を投じて丁寧に製作された、実はトンデモナイ佳品》なのです。これこそがローレル&ハーディ特有のシニカルなシャレではないでしょうか。

 

 尚、ローレル&ハーディについての詳細は、拙ブログの前項をご参照下さい。 

blog.seven-chances.tokyo

 

10月19日(土)16:20 ~

努力と勇気の喜劇王ハロルド・ロイド#1

登壇:清水圭(司会)、大森くみこ(活弁)、天宮遥(伴奏)、新野敏也(解説)

《上映作品》

「ロイドの福の神/プライベート版」For Heaven’s Sake - the limited release version(22コマ映写)

1926年 ザ・ハロルド・ロイド・コーポレーション=パラマウント作品
製作:ハロルド・ロイド、監督:サム・テイラー
脚本:テッド・ワイルド、ジョン・グレイ、クライド・ブラックマン、
題字:ラルフ・スペンス、撮影:ウォルター・ランディン
特殊効果:ウィリアム・マクドナルド
出演:ハロルド・ロイド(大富豪 ハロルド・マナーズ)、ジョビナ・ラルストン(慈善教会の娘 ホープ)、ポール・ウィーゲル(ホープの父 ブラザー・ポール)、ノア・ヤング(ゴロツキのリーダー ブル・ブリンドル)

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 この映画、今回上映のヴァージョンは、1926年の初公開時から現代の市販ソフトに到る《映画史家ケヴィン・ブラウンローや映画研究者ジェフリー・ヴァンスらの復刻版=ハロルド・ロイド財団公認のDVDやブルーレイ》とはカメラ・アングルや演技の異なる、我が喜劇映画研究会が独自に発見した別モノとなります!

 元々はアメリカの映画コレクターMurray Glass氏の私設博物館Em Gee Film Library がヴァージョン違いとは気づかずに長年保管していたものです。その貴重なフィルムを僕が別モノと判定し、デジタル復元しました。

(簡略に記すとこんなカンジですけど、実はデジタル化に到るまでドタバタ喜劇さながらの事件がありました…)

 まぁそんなことよりも、今回は軽快な演出を楽しみながら中身もジックリ確認できる適切なスピードとして秒速22コマ映写を採用、そして大森くみこさんの活弁と天宮遥さんの伴奏による豪華なアレンジでお届け致します♪

 

 さて、ヴァージョン違いとなるとマニアックな話ですけど、初見の方はとにかくクライマックスで仰天することでしょう!本作はジョージ・ミラー監督が『マッドマックス 怒りのデスロード』創作の礎にしたという、恐るべきカーアクションが見どころなのです。

(ミラー監督自身は本作のタイトルを明示しておりませんが、「ハロルド・ロイド作品を参考にした」との談話から推測する限り、決定的なカーアクションをウリにしたロイド作品は『福の神』だけなので、まず僕の見立てに間違いないでしょう)

 

 未見の方々へ、ネタバレしない程度に概略を説明しますと、享楽主義の権化みたいな大富豪ハロルド・マナーズ(ロイド扮)が、ふとした勘違いから、貧困と暴力の支配する町に、まるっきり興味の対象外となる教会(信仰と救済の伝道所)を設立することになります。マナーズは、この教会で献身的に働く牧師の娘ホープ(ジョビナ・ラルストン扮)に一目惚れ、その愛がやがてトンデモナイ方向へ発展します。

 これがどうしてマッドマックスの始祖的なカーアクションにつながるのかは見てのお楽しみですけど、ロイド喜劇は荒唐無稽にブッ飛んで強引にアクション場面が繰り広げられる訳ではなく、ドラマの構成がとにかく細かく、よく練られております。

 この点も含め順を追ってご説明しますと、本作『福の神』は、当時として世界で最も強大な映画会社パラマウントから初めてリリースされたロイド作品となります。

 ロイドは自らの独立プロダクションを設立して以降、年産2作品の契約に対し《ドラマ性重視のコメディ》と《徹底的に笑いを重視したコメディ》の交互発表という経営方針を決めておりましたが、初のパラマウント配給にはかなり慎重な姿勢で臨み、《徹底的に笑いを重視…》に取り組んだとされます。

 その甲斐あって、結果は19世紀の映画発明時から1930年前半代までに劇場公開された全世界の無声映画(推定1万5千作品)の中において、堂々12番目の興行収入を誇る作品となりました(蛇足ながら、第1位はD・W・グリフィスの『國民の創生』です)。

 当然ながらロイド作品の中でも第1位のヒット作となりますが、我が国では物語の背景にある《信仰と救済の伝道所を設立》が1926年当時の《キリスト教には縁遠い日本人》にあまり理解されなかったようで、 『豪勇ロイド』『要心無用』『猛進ロイド』といった代表作の陰に隠れてしまいました。

 考えるに、この《信仰と救済の伝道所を設立》という設定こそ、『プライベート版』が現存する理由かもしれません。この映画は、ロイド自身の私生活における慈善活動が基盤にあると僕は考えました。

 

 本作『福の神』発表の前年(1925年)に、ロイドはフリーメイソンの外郭団体シュライン会に入ります。当時のシュライン会とは、メンバーとなる人へ病院や学校を寄贈させるくらいの多額な資金援助(大規模な慈善事業)が課せられるという、裕福でなければ会員資格が得られない厳しい規律があったそうです。そこでロイドは、障碍者の福祉に力を注ぎますけど、この時代にフリーメイソン(シュライン会)はカトリックやプロテスタントから邪教のごとく思われていたようで(逆にフリーメイソン側はキリスト教に友好を求めていた)、ロイドはその偏見を払拭しようと《信仰と救済の伝道所を設立》なる設定を作ったのではないか…と僕は推測しました。

 

 アメリカ本国の初公開は1926年4月5日ですが、その前日まで撮り直しやカットの差し替えが行われ、とてつもない製作費がかけられたとされます(予算や撮影方法は今日まで非公開のまま)。

 因みに、我が国でも松竹配給で同年(大正15年)に封切られましたが、正確な日付や劇場は調べられませんでした。ゴメンナサイ!

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僕の映画講座でヴァージョン違いを発表 

 

 さて、こんな状況で『プライベート版』が作られたと考えてみたのですけど…飽くまで物証を挙げるつもりでこの度『プライベート版』と命名し、この京都国際映画祭で上映します故、どこがどう違うか?なぜ別ヴァージョンが存在するのか?クライマックスの撮影法は?という部分にスポットを当てて僕がご説明させて頂きます!

 とにかく改めてご覧になれば、この完成度は驚愕の連続!クライマックスのカーアクションは、かつて我が喜劇映画研究会がフィルム試写を行なった際、同席していた超有名なCMカメラマン氏が腰を抜かして悩んじゃったくらいスゴイんです!とにかくご期待下さい!

 

10月20日(日)14:00 ~

努力と勇気の喜劇王ハロルド・ロイド#2

登壇:清水圭(司会)、柳下美恵(伴奏)、新野敏也(解説)

《上映作品》

「猛進ロイド」Girl Shy(22コマ映写)

1924年 ザ・ハロルド・ロイド・コーポレーション=パテ・エクスチェンジ作品
製作:ハロルド・ロイド
監督:フレッド・ニューメイヤー、サム・テイラー
脚本:サム・テイラー、テッド・ワイルド、ティム・ウィーラン
題字:トマス・J・グレイ、撮影:ウォルター・ランディン
特殊効果:ウィリアム・マクドナルド、日本語字幕:石野たき子
出演:ハロルド・ロイド(作家志望の青年 ハロルド・メドウズ)
ジョビナ・ラルストン(大富豪バッキンガム家の令嬢 メアリー)
カールトン・グリフィン(結婚詐欺 ロナルド・デヴォア)
リチャード・ダニエルズ(ハロルドの叔父)、ノラ・ラックスフォード(妖婦)
ジュディ・キング(フラッパー)、ちびっ子ギャング(特別出演)

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 この映画は、ロイドと永年の相棒=プロデューサーのハル・ローチが袂を別ち、ロイド自らが設立したプロダクションの初作品となります。ロイドとローチは『要心無用』の大成功から収益配分を巡って対立、そしてロイドの退社に到った訳です。

 ロイドはローチのスタジオを立ち去る際に、ヒロイン役のジョビナ・ラルストン以下すべての脇役、監督、脚本家、カメラマン、撮影助手ら全スタッフを従えていたことから、多くの評論家がローチとは確執だけを残したように解釈しております。しかし、ローチはこのロイド独立第1作の記念に自社の大スター『ちびっ子ギャング』を貸与しておりますので、《ロイドとの永遠の友情》《今後は良きライバルとなる元同僚へのエール》を示したと考えるのが妥当でしょう。

 ロイドは、本作から《ドラマ性重視のコメディ》と《徹底的に笑いを重視したコメディ》の交互発表を目指します。その《ドラマ性重視…》の初作品が本作という訳です。

 この『猛進ロイド』におけるドラマ性重視の顕著な一例がロイドの表情で、心の中を表現するがごとき繊細な演技が見どころとなります。同時代のコメディアンの大多数はクラウン(道化師)なので、《笑う・怒る・泣く》といった情況はジェスチャーに頼り、細やかな心情を吐露する妙技を顔に出しません。対するロイドは、映画特有の表現(表情のアップ)により効果絶大となる微妙な心情を演じて、豊饒な世界観を作り上げます。

 特に卑屈な顔による虚栄心や失望感などの表現は、チャップリン、キートンには見られない名演でしょう。また、印象派の絵画を想起させる画面作り、奥行き感に多くの情報(状況説明)を盛り込むカメラ・ワーク、アクション・シーンでのカット割り等、同時代に作られた文芸大作を凌駕する詩情豊かな場面構成も、本作の魅力のひとつといえます。

 これら美しい展開と、ロイド喜劇特有のアップテンポを考慮して、今回も秒速22コマ映写を採用しました。柳下さんの流麗な伴奏でお楽しみ下さい♪

 ついでのトリビアとして、この『猛進ロイド』は1980年に『フーリング』(原題:Foolin' Around 監督リチャード・T・ヘフロン、主演ゲイリー・ビジー)というパクリ映画が作られましたことも記しておきましょう。

 

【山崎バニラの活弁大絵巻2019~陽気な仇討ち】

(会場:こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ)https://www.spacezero.co.jp/information/131709

10月20日(日)14:00 ~

 活弁・演奏(キーボード):山崎バニラ

 《上映作品》

「荒武者キートン」Our Hospitality(変速再生)

1923年 ジョゼフ・M・スケンク・プロダクションズ=バスター・キートン・プロダクションズ=メトロ作品
製作:ジョゼフ・M・スケンク
監督:ジャック・ブライストン、バスター・キートン
脚本:ジーン・ハヴェッツ、クライド・ブラックマン、ジョー・ミッチェ ル
撮影:ゴードン・ジェニングス、エルジン・レスリー
照明・撮影助手:デンヴァー・ハーモン
美術:フレッド・ガブリー、衣装:ウォルター・イズリール
出演:バスター・キートン(ウィリアム・マッケイ)、ジョー・ロバーツ(カンフィールド家の当主)、ナタリー・タルマッジ(カンフィールド家の娘)、フランシス・X・ブッシュマン・ジュニア(カンフィールド家の長男)、
クレイグ・ワード(カンフィールド家の次男)、ジョー・キートン(機関士)、
ジャック・ダフィ(車掌)

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  昨年度の京都国際映画祭でご披露されたバニラさんの独演が東京に帰ってきます!

作品概要は前回をご参照頂ければ幸いです。

blog.seven-chances.tokyo

 

 バニラさんの熱演はナマでの迫力、ライヴならではの妙味があります。

出来ればもう一度、間近で体験したいものですねぇ。

 

 

【山崎バニラの活弁大絵巻 in はまとんべつ】

(会場:浜頓別町多目的アリーナ)http://vanillaquest.com/ 

                 ※バニラさんのホームページより

11月2日(土)18:00 ~

 活弁・演奏(キーボード):山崎バニラ

 《上映作品》

「キートンの蒸気船」Steamboat Bill, Jr. (24コマ映写)

(旧題:「キートンの船長」)

ジョゼフ・・スケンク・プロダクションズ=バスター・キートン・プロダクションズ=ユナイテッド・アーティスツ作品
製作:ジョゼフ・M・スケンク、監督:チャールズ・F・ライスナー
脚本:カール・ハルボウ、 撮影:バート・ハインズ、デヴ・ジェニングス
美術:フレッド・ガブリー
出演:バスター・キートン(ウィリアム・カンフィールド・ジュニア:通称 ウィリー)、アーネスト・トレンス(ウィリアム・カンフィールド:通称 蒸気船のビル)、トム・マクガイア(町の実業家 J・J・キング)、マリオン・バイロン(キングの娘 キティ)、トム・ルイス(ビルの相棒)、ジェイムズ・T・マック(牧師)

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 今秋は台風による災禍が全国的に甚大なために、この映画の有名なクライマックスについては割愛させて頂きますが、それより何よりとにかく父と息子の絆の描き方がお見事!感涙モノです!

 本作はキートン自らのプロダクションで製作された最後の作品で、それ故か、ほとんど誰もが気づかないような内輪ウケの驚愕ギャグが隠されております。このネタにつきましては、本番でバニラさんの語りを楽しみにして下さいネ。

 すべて《作られた町並みセット》の中で演じられるドラマながら、アメリカ南部の偏屈で強靭な男臭さ、田舎町の土埃までもが臨場感タップリに描かれております。

 監督のチャールズ・ライスナーは、キーストン社~チャップリン・スタジオの役者を経て演出家となった人物で、「ダーティハリー」等の脚本家ディーン・ライスナーの実父。ヒロインのマリオン・バイロンは当時17歳で本作がデビュー作ですけど、劇中で水に浸かる場面はバイロンが泳げないため、背格好のそっくりなキートンの実妹ルイーズが代演しております。

 バニラさんの神業に酔いしれて下さい!

 

【東京国際映画祭2019チルドレン・プログラム
山崎バニラの活弁小絵巻

(会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

https://2019.tiff-jp.net/ja/lineup/film/32YTC01

11月4日(月)10:30 ~

 活弁・演奏(キーボード):山崎バニラ

「初陣ハリー」Tramp, Tramp, Tramp (28コマ映写)

1926年 ハリー・ラングドン・コーポレーション=ファースト・ナショナル作品
製作:ハリー・ラングドン、監督:ハリー・エドワーズ
脚本:フランク・キャプラ、アーサー・リプリー、ハル・コンクリン、
   ジェラルド・C・ダフィ、J・フランク・ホリデー、ハリー・ラングドン
   ムレイ・ロス、ティム・ウェラン  
撮影:エルジン・レスリー、ジョージ・スペア
出演:ハリー・ラングドン(ハリー・ローガン)、ジョーン・クロフォード(バートン社の令嬢ベティ)、エドワード・デイヴィス(バートン社の社長ジョン)、
トム・ムレイ(優勝候補ニック・カルゲス選手)

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 製作・主演のハリー・ラングドンとは、無声映画黄金期の三大喜劇王チャップリン、キートン、ロイドと並ぶ人気を誇ったコメディアンです。

 チャップリンは「パントマイムとアイロニー」、キートンは「奇抜な発想とアクロバット」、ロイドは「オシャレとスピード感」という特色を持っておりますが、対するラングドンは…ズバリ「何もできない」を最大の武器としていたのです。まぁ、何もできないんじゃあ武器にはなりませんが、非力な小市民、母性本能をくすぐる純真無垢さ、不器用で無能な生き様こそが魅力(!?)という訳で、彼のモッサリ感は何と名匠フランク・キャプラが参謀となって創案されました。

 本作はラングドン自らがプロデュースした初長編にして、《世間に翻弄される弱者》ラングドンによる、ホンワカ癒し系喜劇の代表作です。また、ハリウッドの伝説的な大女優ジョーン・クロフォードが、主役(ヒロイン)としてデビューを飾った作品でもあります。

 無声映画期のコメディの定石となるアクロバットやパントマイムもなく、ルビッチュ調の男女間のウラ事情をあざ笑うような展開でもなく、ひたすらボヨヨ~ンと浮遊感が漂うコメディですが、公開当時はキートン作品の興行収入を抜き去りました!

 このつかみどころのないキャラクター作品に、バニラさんが初挑戦します!