喜劇映画研究会代表・新野敏也による ドタバタ喜劇を地で行くような体験記♪
作品の感想は語れず 衒学的な論評もできない「コメディ」によって破綻した実生活を暴露する!?
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偏狂映画論 その1~怪獣妄想劇の巻~ 

ある年代まで、お正月映画といえば怪獣モノが定番だった。

そんな想い出から、ごくごく私的な怪獣映画論を…映像作家ほしのあきら氏が主宰する映像集団ハイロの機関誌『瞬刊 灰色2014年11月号』に僕が寄稿したコラムを、改めてここへ転載させて頂きます。

尚、『シン・ゴジラ』公開より2年前に書いた内容なので、ちょっと古めかしいかもしれませんけど、どうかご笑覧下さい。

 

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近所のガキを脅かそうと自作マスクで昆虫星人に化けた筆者

(2019年10月30日 撮影) 

 

 『ゴジラ』がハリウッドで『GODZILLA』となって復活したので、私も勝手に便乗して、独自の怪獣論をブチ撒けさせて頂きます。

 まず、私が生まれて初めて観た映画が『モスラ対ゴジラ』でした。これは怪獣映画と知って鑑賞した訳じゃなく、ゴジラに関してもほとんど印象がないし、心に残ってる記憶はひたすらデカイ蛾が恐かったって事だけです。実は当時三歳だった私、この映画が観たくて劇場に行った訳じゃなかったんです。この経緯は、もともと銀座のデパートの特別催事場か浅草花やしきでの『菊人形展』がテレビCMで流れていたのを、何が何だかもわからずに「コレ行きたい!」と騒いだところ、実家からほど近い二子玉川園という遊園地(1985年まで、現在の二子玉川ライズの位置にあった)に連れて行かれ、入り口に展示されていた歌舞伎の隈取り菊人形が恐くてジタバタしてたら、横にあった映画館で上映中の『モスゴジ』をあてがわれたという次第です。

 しかしその数年後、テレビで『ウルトラQ』が放映されるや、頭ン中は怪獣だけの馬鹿ガキに育ちました。この頃は幼稚園児だったのですが、今と違ってクラス中のみんなが無邪気なもんで、本当に数十メートル級の怪物がビルを壊していると信じて疑いません。男子は『ウルトラ派』と『サンダーバード派』に対立してまして、「ガイジンの操り人形なんかじゃなくて、ホンモノが暴れてるんだ!」と号泣しながら訴える純情クンとか、「昨日、お母さんと歩いてたら、ケムール人にさらわれそうになった」と恐怖体験を語るホラ吹き野郎なんかがいました。私もホンモノが暴れていると妄信していたので、ガラモンが水力発電所を壊してからゲロ吐いて死ぬシーンに「こんなデカイ死骸を誰がどうやって片付けるんだ!」「すげぇクサそうだ!」と衝撃を受けました。

(それはたまたま縁日で買った沢蟹が逃げて、雨戸の戸袋の奥で死んだのを撤去できず家中に腐敗臭が漂っていた事から連想して、かなりリアルに恐れおののいてました)

 ついでながら書かせて頂きますが、洋画は幼稚園の卒業間際に『恐竜100万年』という作品で劇場初体験を果たしました。これが後年になって、私の主宰する喜劇映画研究会が本格的に研究活動を始めるキッカケとなったハル・ローチという人物のプロデュース作品と知って、何だか深い因縁を感じました。また、最近になって主役のラクエル・ウェルチという巨乳グラマーはこの映画が出世作だったと初めて知って、歴戦の巨乳美女マニアに叱られました。 

 さてさて、巨乳より巨獣に話を戻しましょう。最近はCG処理の著しい進化や状況設定の超リアル志向もあって、金子修介監督『ガメラ 大怪獣空中決戦』以降から、怪獣の脱糞(喰われた人間の遺留品が未消化で発見される)とか、自衛隊出動が対侵略国ではなく対生物は合憲かどうかとか、ホンモノの巨大獣が空から落ちてきた場合にどのくらいの衝撃力になるかなんて驚愕の新解釈は、ウルトラ黎明期に無知なガキだった世代にとっては実に喜ばしい限り!年齢相応に怪獣映画も円熟してるじゃないか!というカンジです。

 そんな状況から、私も怪獣映画に新しい設定を考えてみました。古典から最新作まで、定石は「怪獣が人を襲う」なので、こりゃイイ加減にルーティンだから、そろそろ「人が怪獣を襲う」映画も作るべき時期かと判断した次第です。

 

 例えば…

  • 世界人口の増加で、深刻な食糧難となっている
  • ある日、未知の巨大生物(肉食怪獣)が漁師によって捕獲される
  • 怪獣を食べてみたら美味だった
  • 研究者によって繁殖力の旺盛な怪獣と判明
  • やがて世界各地で若干の棲息が確認される
  • 怪獣の棲息地をめぐって、権利を主張する国が対立
  • 怪獣の人工飼育に成功
  • 某国で飼育場から怪獣が脱走し、町を壊し、人を喰って大繁殖
  • 怪獣に寄生していたダニ類が町に大発生して、人類の新たな脅威となる
  • 町で駆除した怪獣を食肉に転用するか紛糾する
  • 動物愛護団体が怪獣保護で騒ぐ
  • 中国で大繁殖した怪獣の駆除に、中性子爆弾や化学兵器が使用される
  • 汚染された怪獣肉が大量に市場へ流通する

 てなカンジではいかがでしょう? 国際情勢も踏まえて、きっと食物連鎖の頂点をめぐる対決や恐怖の溢れる作品になる筈ですゾ!

 

 その他にも、バルタン星人みたいに円盤で地球侵略する異星人が…

  • 地球までの長旅で排泄をどう処理していたのか? 
  • 排泄物の飛行エネルギー転化を、日本の某研究所が解明する
  • 排泄量に見合うだけの食物を摂取していたのかが国際学会で問題となる
  • 実は異星人が北朝鮮に糞尿を不法投棄(?)して、円盤が撃墜される
  • 捕虜となった異星人の靴を脱がすと、宇宙規模でムレたクサイ足だった
  • 北朝鮮が国連への異星人公開を恣意的に拒み、クサイ靴だけを提出する
  • 秘密裏に処刑された異星人が、朝鮮中央テレビで心霊映像となる
  • その電波を傍受した異星人の正規軍が襲来、誤って日本が攻撃される
  • 日米安保条約、集団的自衛権に該当しないと米国が共同防衛を拒否
  • 異星人と日朝の交戦、米国不在を勘違いした韓国政府がソウルで祝賀会

 などなど、本気で展開を考えると誌面が足りなくなるので、ここいらで打ち切りましょう。あと真面目な話、足のクサイ宇宙人はデザインも容易かもしれませんが、旨そうな食肉怪獣のデザインとなるとかなり難題ですね。 

 どこかで資産のある方がこの記事をお読みになったら、私に出資して、ゼヒこの空想超巨編を実現させて下さい!